はじめに
行政書士に業務を依頼する場面というと、「手続き全体を任せる」「役所対応まで含めてお願いする」といったイメージを持たれることが少なくありません。一方で、実際にはそこまでの支援を必要としないケースもあります。
そのような場合に選択肢となるのが、「書類作成のみ」を行政書士に依頼する方法です。この形態は、制度上も認められており、利用の仕方によっては合理的な選択となります。
この記事では、書類作成のみを依頼するとはどういうことか、その位置づけや注意点について整理します。
制度・業務の事実説明
行政書士は、官公署に提出する書類や、権利義務・事実証明に関する書類の作成を業務としています。これには、申請書や添付書類の作成、記載内容の整理などが含まれます。
依頼内容は、必ずしも「提出代行」や「役所とのやり取り」を伴う必要はありません。依頼者本人が提出や説明を行い、行政書士は書類作成に専念するという形も、業務として成立します。
一方で、行政書士が行えない業務もあります。たとえば、裁判手続きに関する書類作成や、法律上の代理行為は対象外です。また、書類の内容が他士業の専管業務に該当する場合は、その範囲を超えて関与することはできません。
当事務所の取り扱い方針
当事務所では、書類作成のみのご依頼についても、業務内容として取り扱っています。その場合、次の点を前提としています。
・事実関係や希望内容は、依頼者ご本人から提供していただくこと
・行政庁への提出や説明は、原則として依頼者ご自身で行っていただくこと
・書類の法的な位置づけや形式については、行政書士として確認・整理を行うこと
一方で、提出後の補正対応や、行政側との継続的な調整を前提とした業務は、書類作成のみの範囲には含めていません。必要に応じて、別途業務として整理する形になります。
補足・注意点
書類作成のみを依頼する場合、次の点には注意が必要です。
まず、書類の内容は、あくまで依頼者から提供された情報をもとに作成されます。事実と異なる内容や、説明不足がある場合、その責任は依頼者側に帰することになります。
また、行政窓口では、書類の記載内容について質問や補足説明を求められることがあります。その場での対応は依頼者自身が行う必要があるため、制度の概要や申請趣旨をある程度把握しておくことが望ましいです。
費用面については、手続き全体を依頼する場合と比べて抑えられることが多い反面、対応範囲が限定されている点を理解したうえで選択することが重要です。
最後に
書類作成のみを行政書士に依頼するという選択は、「自分で動ける部分」と「専門家に任せたい部分」を切り分ける方法の一つです。すべてを任せるか、すべて自分で行うか、という二択ではなく、必要な範囲だけ専門家を利用するという考え方も、制度上は自然なものです。
ご自身の状況や負担感に応じて、どの関与範囲が適しているかを整理したうえで判断することが大切です。

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