行政書士業務における『範囲を区切る』という考え方

はじめに

行政書士業務について調べていると、「どこまで対応してもらえるのか」「何をお願いできて、何ができないのか」が分かりにくいと感じる方は少なくありません。
これは、行政書士の業務が法律によって定められている一方で、実際の依頼内容が多岐にわたるためです。

その中で重要になるのが、行政書士業務における「範囲を区切る」という考え方です。
これは依頼者を遠ざけるためのものではなく、制度上・業務上の前提として必要な整理です。

本記事では、行政書士業務においてなぜ範囲を区切る必要があるのか、その基本的な考え方を説明します。

制度・業務の事実説明

行政書士は、官公署に提出する書類の作成や、その提出に関する手続きの代理、権利義務・事実証明に関する書類作成を行う資格者です。
一方で、すべての法律業務を行えるわけではありません。

例えば、以下のような業務は行政書士の範囲外とされています。

  • 裁判所での代理行為
  • 紛争性がある案件での交渉や主張
  • 登記や税務など、他士業の専管業務

そのため、行政書士業務では「何ができるか」と同時に、「何を行わないか」を明確にする必要があります。
これが「範囲を区切る」という考え方の基礎になります。

当事務所の取り扱い方針

当事務所では、依頼内容について以下の点を重視しています。

  • 行政書士業務として法令上対応可能かどうか
  • 書類作成や手続き支援として整理できる内容か
  • 他士業や他機関の業務範囲に踏み込まないか

これらを踏まえ、対応可能な業務のみをお引き受けします。
一方で、紛争性が高いものや、判断・主張を伴う行為については、対応対象外とする場合があります。

これは責任を回避するためではなく、業務の性質を明確にし、結果として依頼者との認識のずれを防ぐためのものです。

補足・注意点

「範囲を区切る」というと、冷たい対応に感じられることもありますが、実際には逆の意味を持ちます。
業務範囲を明確にすることで、

  • 行政書士が担う役割
  • 依頼者が準備・判断する部分
  • 他の専門家に委ねるべき部分

が整理され、手続き全体の見通しが立てやすくなります。

また、依頼時点で範囲を曖昧にしたまま進めると、途中で対応できない事項が発生することもあります。そのため、初期段階での範囲確認は重要な前提となります。

最後に

行政書士業務における「範囲を区切る」という考え方は、制度上の制約であると同時に、業務を円滑に進めるための整理手段でもあります。
業務範囲を明確にしたうえで役割分担を行うことが、結果として依頼者にとっても分かりやすい手続きにつながります。

本記事が、行政書士業務を理解する際の一つの参考になれば幸いです。

コメント