はじめに
行政書士に業務を依頼する際、「どこまで判断してもらえるのか」「代わりに決めてもらえるのか」と感じる方も少なくありません。とくに、申請内容や選択肢が複数ある場合、その判断を専門家に委ねたいと考えるのは自然なことです。
一方で、行政書士業務には、法律や制度上、明確に「判断しない部分」「関与しない部分」が存在します。この点を理解せずに依頼すると、期待と実際の業務内容にずれが生じることがあります。
本記事では、行政書士が判断しない部分とは何か、その理由と位置づけについて整理します。
制度・業務の事実説明
行政書士は、官公署に提出する書類の作成や、その提出手続の代理を行う資格者です。そのため、業務の中心は「制度に基づいた書類作成」と「事実関係の整理」にあります。
行政書士が判断しない代表的なものとして、次のような点が挙げられます。
・依頼者の意思決定そのもの(どの手続きを選ぶか、申請するか否か)
・事実の真偽に関する最終判断
・権利義務の帰属を巡る法律判断や紛争の結論
・行政庁が下す許可・不許可の判断
これらは、依頼者本人、行政庁、または裁判所などが判断主体となる領域であり、行政書士が代行・代替することはできません。
当事務所の取り扱い方針
当事務所では、依頼者の意思や提供された事実を前提として、制度上どのような手続が考えられるかを整理し、書類作成を行います。
一方で、以下の点については当事務所では行いません。
・依頼者に代わって結論を決めること
・事実関係を推測や想定で補うこと
・結果を保証するような判断や表現
判断そのものは依頼者に委ね、その判断に必要な情報整理や制度説明を行う、という立場を取っています。
補足・注意点
行政書士が「判断しない」というのは、何も説明しないという意味ではありません。判断材料となる制度の枠組みや、一般的に考えられる選択肢を説明することは業務に含まれます。
ただし、「どれを選ぶべきか」「どちらが有利か」といった最終的な結論は、依頼者自身が決める必要があります。この点を理解しておくことで、依頼時の行き違いを防ぐことができます。
最後に
行政書士は、判断を代行する立場ではなく、判断に必要な手続きを制度の枠内で支える役割を担います。どこまでが業務範囲で、どこからが依頼者自身の判断なのかを知ることは、円滑な依頼関係を築くうえで重要な前提となります。

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