相談だけの依頼が難しい理由について

はじめに

行政書士への依頼というと、「書類を作ってもらう」「申請を代行してもらう」というイメージが一般的です。そのため、「まずは相談だけお願いしたい」「話を聞いてもらうだけでは難しいのか」という疑問を持たれる方も少なくありません。

一方で、行政書士業務においては、「相談のみ」の依頼が成立しにくい、あるいは取り扱いが限定的になるケースがあります。これは対応の善し悪しではなく、業務の性質や制度上の位置づけによるものです。

ここでは、相談だけの依頼が難しいとされる理由について、行政書士業務の前提から整理します。

制度・業務の事実説明

行政書士は、官公署に提出する書類の作成や、その提出手続の代理、または権利義務・事実証明に関する書類の作成を業務とする国家資格者です。制度上の中心は「書類作成業務」にあります。

相談対応自体が全面的に禁止されているわけではありませんが、行政書士が行う説明や助言は、原則として「特定の書類作成や手続を前提としたもの」として位置づけられます。
単なる一般論の説明を超えて、個別事情に踏み込んだ判断や結論を示す場合、業務責任や他士業との業際の問題が生じやすくなります。

また、相談内容が法律判断そのものを求める場合や、紛争性を含む場合には、行政書士の業務範囲外となることもあります。そのため、「相談だけ」という形では、業務として整理しにくい場面が少なくありません。

当事務所の取り扱い方針

当事務所では、相談対応は「具体的な書類作成や手続の有無を整理するための前提確認」として行う位置づけを基本としています。

そのため、
・書類作成や手続と無関係な一般的な相談
・結論や判断のみを求める相談
・業務範囲外の法的評価を前提とする相談

については、対応できない、または限定的な説明にとどまる場合があります。

一方で、依頼を検討する過程で必要となる範囲の事実整理や制度説明については、業務の一環として行っています。

補足・注意点

「相談だけが難しい」と感じられる背景には、次のような点があります。

・相談内容がどの書類・手続に結びつくのか不明確
・相談の結果に対する責任の所在が曖昧になりやすい
・他士業の業務範囲と重なりやすい

これらは制度上の制約であり、個別の事情によって柔軟に扱えるものではありません。
相談の段階であっても、どのような手続や書類が関係するのかを整理することが重要になります。

最後に

相談だけの依頼が難しい理由は、行政書士業務が「書類作成を中心とする制度設計」で成り立っている点にあります。
単なる対応姿勢の問題ではなく、業務範囲や責任の明確化という前提があることを理解しておくと、依頼時の認識のずれを防ぐことにつながります。

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