はじめに
行政書士に業務を依頼する際、「どこまで責任を負ってもらえるのか」という点が気になる方は少なくありません。書類作成や手続きの代行を依頼する以上、結果に対する責任の所在を明確にしておきたいと考えるのは自然なことです。
一方で、行政書士業務の責任範囲については、弁護士業務やコンサルティング業務と混同されやすく、実際の制度や業務内容と異なる理解がされていることもあります。そこで本記事では、行政書士業務における責任の範囲について、一般的な整理を行います。
行政書士業務における責任の基本
行政書士の責任は、主に「依頼を受けた業務を、法令および契約内容に従って適切に遂行すること」にあります。具体的には、以下のような点が責任の対象となります。
行政書士が責任を負うのは、
・依頼内容に基づき、正確な書類を作成すること
・必要な事実確認や法令確認を行うこと
・期限や手続方法を誤らずに業務を行うこと
これらに不備があり、行政書士の過失によって依頼者に損害が生じた場合、損害賠償責任が問題となることがあります。このため、多くの行政書士は業務賠償責任保険に加入しています。
行政書士が責任を負わない範囲
一方で、行政書士が責任を負わない事項も明確に存在します。代表的なものは次のとおりです。
まず、行政書士は「結果の保証」を行う立場ではありません。たとえば、許認可申請において不許可となった場合でも、適法かつ適切に申請業務を行っていれば、その結果自体について責任を負うものではありません。
また、以下のような事項は行政書士の責任範囲外とされています。
・行政庁の裁量判断による結果
・依頼者から提供された事実や資料が虚偽・不十分であった場合
・法律相談や紛争解決など、弁護士業務に該当する行為
行政書士はあくまで書類作成および手続支援の専門家であり、法的な紛争の代理や交渉を行うことはできません。
当事務所の取り扱い方針
当事務所では、業務の受任にあたり、対応可能な範囲と対応できない範囲を事前に説明することを重視しています。依頼内容については、行政書士業務として取り扱えるかどうかを確認したうえで受任します。
また、業務の目的や前提条件、行政書士として保証できない点についても、可能な限り明確にお伝えする方針です。結果そのものではなく、「適切な業務遂行」を責任範囲とする点について、誤解が生じないよう留意しています。
補足・注意点
行政書士業務の責任範囲は、個々の契約内容によっても左右されます。口頭のやり取りだけでなく、業務内容を書面で確認しておくことは、依頼者・行政書士双方にとって重要です。
また、手続き全体の判断や最終的な意思決定は、原則として依頼者自身が行うものです。行政書士はその判断を補助する立場であることを理解しておくと、後の行き違いを防ぎやすくなります。
最後に
行政書士業務における責任範囲は、「適法かつ適切に業務を行うこと」にあります。結果の保証や判断の代行を行うものではありません。依頼を検討する際には、業務内容と責任範囲を事前に確認することで、安心して行政書士を活用することができます。

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