はじめに
行政書士事務所の業務形態として、「顧問契約」を想起される方は少なくありません。企業や個人事業者が、継続的に専門家と契約する形を思い浮かべることも多いようです。
一方で、行政書士業務の実態を見ると、必ずしもすべての事務所が継続的な顧問契約を前提としているわけではありません。業務内容や責任範囲との関係から、顧問契約を行わないという選択をしている事務所も存在します。
本記事では、当事務所が継続的な顧問契約を行っていない理由について、制度面と業務運営の観点から整理します。
制度・業務の事実説明
行政書士は、官公署に提出する書類の作成や、その提出手続きの代理、また権利義務・事実証明に関する書類の作成を業務としています。これらは、個別の案件ごとに内容・前提条件・責任範囲が確定する業務であることが特徴です。
一般的な顧問契約では、一定期間にわたり継続的な助言や対応を行うことが想定されます。しかし、行政書士業務では、
- 案件ごとに関係法令や必要書類が大きく異なる
- 事前に業務範囲を確定しなければ責任の所在が不明確になりやすい
- 継続的な「判断」や「経営助言」を含む業務は対象外となる場合がある
といった事情があります。このため、顧問契約という形が制度上・実務上なじみにくいケースも少なくありません。
当事務所の取り扱い方針
当事務所では、案件ごとに業務内容と責任範囲を明確にしたうえで受任することを基本方針としています。そのため、期間を定めた包括的な顧問契約は行っていません。
具体的には、
- 行うこと
- 個別案件ごとの書類作成・手続き支援
- 業務範囲を事前に確定したうえでの対応
- 行わないこと
- 内容が未確定なままの継続的対応
- 業務範囲や責任範囲が曖昧な包括契約
といった整理をしています。これは、依頼者と行政書士の双方にとって、業務内容を明確に保つための判断です。
補足・注意点
顧問契約を行わないからといって、同一の依頼者から複数回の依頼を受けられないわけではありません。実際には、必要な手続きが生じるたびに、その都度業務内容を確認し、個別に受任する形となります。
また、他士業(弁護士や税理士など)では顧問契約が一般的な分野もありますが、行政書士業務とは制度的な位置づけや業務性質が異なる点には注意が必要です。同じ「顧問」という言葉でも、その意味合いは資格ごとに異なります。
最後に
当事務所が継続的な顧問契約を行っていない理由は、行政書士業務の性質上、業務内容と責任範囲を案件ごとに明確にすることを重視しているためです。依頼者にとっても、何をどこまで依頼しているのかが分かりやすい形を保つことが、結果的に無理のない関係につながると考えています。

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